株式投資に目覚めた群馬の至宝

株式投資と柴犬実成(さねしげ)の成長日記

生き残りのディーリング

   

出典:amazon.co.jp

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変わりゆく市場に適応するための100のアプローチ

損切りを早めにし、その損を機会利益のためのコストと考える。これがまさに本書のタイトルにある「生き残りのディーリング」なのですが、この方法には次のような留意点があります。①コストをできる限り、低く抑える、②そのコストを払ってあまりあるだけの収益を上げるという2点です。調達と運用。すなわち、どれだけの資本を費やしてどれだけの利益を上げるか。換言すれば、リスクをどのように上手く管理して最大限のリターンを得るのかということに尽きます。これが、本書の根底にある思想になっているため、本書の中ではこれでもかと言うくらい「なんぴん」を否定する内容が随所に散りばめられています。また、もうひとつ、本書の中心的な内容として、ディーリングに際して「需給」の大切さを説いている点が、本書が他の書籍と大きく異なる点です。

相場とは何かを追求した哲学書
 トレーダー/投資家には、そのレベルや立場に応じ、乗り越えねばならない「壁」がある。例えば「仕掛けと仕切りに恐怖を感じる」という壁、「どれくらいポジションを維持したらよいか分からない」という壁、「自分の技法が通用し
ない期間が長く続いている」という壁・・・・・・。実にさまざまだ。本書『実践 生き残りのディーリング』は、そうした壁に挑もうとする人々に格好のアプローチを提示しようとする哲学書である。「相場とはどのような性質のものか?」「どのような種類の人々が参加しているのか?」「どうして価格が動くのか?」「どのような対応できるのか?」など、相場の謎を解くための概念が100項目にわたって著されており、自分がどう相場に向き合うべきか啓蒙してくれるのだ。

 事実、1990年の『オリジナル版』発刊以来、本書は多くのプロのディーラーに座右の書として愛読され続けている。これは本書で展開される「矢口理論」が相場の本質を鋭く突いているからにほかならない。

 今回の『実践 生き残りのディーリング』は「株式についても具体的に言及してほしい」という多くの個人投資家たちの声が取り入れられた「最新版」。プロだけでなく、これから投資を始めようという投資家にとっても、自分自身の投資
スタンスを見つめるよい機会となるだろう。

 印象に残った点

ADVICE 49-値ごろより日柄 

相場でよく使われる「買いが多い」、「売り一色」などという表現は、いわば比喩であり、実際の相場では買い手と売り手とが一対一でのみ取引が成立することを思い出してください。買い手と売り手とは常に同数です。あるのは売買に至る必然性や意欲の大小だけなのです。買わなければいけない人、どうしても買いたい人に、いやいや売り向かった人はそのポジションをカバーします。すなわち、売り手がすぐに買い手となって出現します。こういった状態を程度に応じて「買いが多い」とか「買い一色」と表現するのです(173ページ)。

価格変動要因

短期中期の価格変動は、その期間にわたって、大きなポジションを保有する人の意向を反映します。相場を動かしているのはポジションです。ポジションの保有期間の長短によって、大きなトレンドの方向が決定されます。そして、保有期間の長短の綱引きによって、価格波動が形成されるのです。相場を動かす力は、ポジションの量と、その保有期間です。量は大きい方が、保有期間は長い方が、より大きな力を発揮するのは言うまでもありません。トレンドはポジションの量ではなく。保有期間の長さによって決定されます。

ADVICE 50-レベルに来たときがタイミング

相場の値動きは基本的に天邪鬼です。市場には人の裏をかこうとばかり考えている連中が集まっているのですから、約束通りの値動きを期待する方が甘いのかもしれません。何回か似たような動きを繰り返したあとで裏切る。ふと気がつくとまた同じような動きを繰り返している。それを信じるとまた裏切る。そんなことの繰り返しです。従って、過去の値動きのパターンの分析から、この時期にこのレベルと待ち構えていても、時には早く来すぎるし、時にはいつまで待っても来ません。時には待つのをやめた頃にやってきます。需給分析が正しく、相場の方向が当たっていてすらこれなのです(176ページ)。

ADVICE 59-買い乗せは二回まで

いったんトレンドを確認したなら、小さな額などで張っていても埒があきません。そこで行うのが買い乗せです。当然買いコストは上がってしまいますので、そこから下がれば利益は減ります。しかし、ゼロになるまでには手仕舞うことはできるでしょう。買い乗せをして、そこから上がれば、ポジションが大きい分だけ利益も大きくなります。リスクが少なくて、期待利益が大きいという絶好の攻め場です(202ページ)。(中略)せっかくの利益を吹き飛ばさないために、最後の買いコストをポジションのコストだと見なして、下げ始めたなら全部閉じるようにしてください。(204ページ)

ADVICE 74-なんぴん買いの効用

相場は売り買いが出会って成立します。考え方によっては、相場の参加者の半数は必ず間違っていると言えるかもしれません。自分だけが例外で、常に正しいと思うのは勝手ですが、現実に買ったものが値下がりしているのなら、負け犬の遠吠えに聞こえます(263ページ)。(中略)なんぴんは、戦術的に非常に拙いのです。勝率が高まっても、損益の総額では負けてしまうのです。やり直しのきかぬ相場などありません。いったん損切って入りなおしてください(265ページ)。

ADVICE 79-構えありて構えなし

勝負事では型を知ることが重要です。型を知らずして勝負に臨んだとしても、勝ち負けのパターンを分析していくと、結局は先人が到達していた型にたどり着くことがままあります。型を学ぶということは、先輩諸氏が苦労して獲得したものを垣間見ること、または盗むことです。独り立ちするための近道なのです。先人の言に耳を傾けず、凡人が自分だけで努力すると、いつまで経っても先人の域には達せないでしょう。近道をすることは卑怯ではありません。文化の継承なのです。先人に学び型を知ると、その型に疑問を持ち、さらに深く考えるということも起こります。そのようにして自分の型を確立していくのです(278ページ)。(中略)せっかく得た型だからと、捨て去ることをためらったり惜しむ必要はありません。その型が本当に真理と呼ぶに値するものであれば、次に得るのもまた同じ型に違いないのです。型に安住することなく、常に新しい視点で問いかけ直す。そうすることによって、その型に対する確信も、ますます堅固になっていくでしょう。

感 想

本書はある程度の経験値あるいは知見を積んだ方でないと、理解するのは困難な部類に入る難読書だと思います。私も初めて同書を読んだときは「需給」と「損切り」をしつこくアピールしてくる本だなくらいの印象しかなかったのですが、少し前に改めて読み直したところ、大きな学びがありました。「損切り」を行うことに躊躇はあまりありませんが、「なんぴん」については肯定派なので、主張されていることは十分理解しているものの、私はそれでも自分の投資スタイルに当てはめた場合においては有効な場合が確実に多いだろうと判断しています。また、私が本書から一番学んだのは「需給」の部分でした。私は企業業績に着目したファンダメンタル投資から入ったため、短期的な投資の要素は無視していましたが、FPGの値動きから多くのことを実体験から学ぶとともに、「需給」の大切を強く実感したことから、自分が需給を意識した取引を行うか否かとは別に、最低限の知識として学ぶ必要があると感じていました。そうしたところ、本書で書かれている内容がまさに私の知りたかった部分であったこともあり、当初はあまり良さのわからない本でしたが、とても参考になりました。ブログに感想を載せている本以外にも、これまでにかなり投資関連の本を読んできましたが、本書はどちらかというと難読書の部類に入り、一回読んだだけでは印象が弱いかもしれません。ただ、2回目、3回目と読むごとに得るものは必ずあると言える本なので一読をオススメします。

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