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【北朝鮮の外交戦略】これを読めば南北会談、米朝会談に至る北朝鮮の緻密な戦略に驚くでしょう

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 北朝鮮を巡る状況として、4月27日に3回目の南北会談、その後は史上初の米朝会談が予定されている。

 これに先立ち、金正恩国務委員長は初の国際外交の舞台として、夫人とともに中国を電撃訪問して世界を驚かせた。

 2016年から2017年までは、北朝鮮は核実験や弾道ミサイル発射試験を繰り返し、朝鮮半島の軍事的緊張が高まったが、平昌オリンピックへの参加を契機として一気に融和ムードへ転換を図っている。

 金正恩は無能だとみる見方もあるが、北朝鮮の一連の外交戦略を振り返ると、かなり緻密に計算され尽くしていると言わざるを得ないように感じる。

 今回の南北会談・米朝会談に至る流れを簡単に振り返ってみるとそれは明らかである。

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南北会談に至る経緯で際立つ北朝鮮の外交戦略の巧みさ

 北朝鮮は2016年から2017年に核実験3回、弾道ミサイル発射試験を40回以上実施した。

 回数も重要であるが、試験の中身がさらに重要であり、北朝鮮はこの間にSRBMの北極星2型、IRBMのムスダン、火星12、ICBMの火星14、15などの新型弾道ミサイルを次々と完成させ、3回の核実験を通じて核兵器の小型化に成功していることをアピールし、大気圏の再突入技術だけは証明できていないものの、米本土への攻撃能力を誇示することで、核保有国としての自分たちの存在感を高め、米国と対等であることを世間に知らせめた。

 この間、韓国では2010年に独自制裁を発令した李明博、朴槿恵政権等、長く続いた保守政権が倒れ、2017年の5月に盧武鉉大統領以来の文在寅から成る革新左派政権が誕生し、南北との交流に移る最低限の準備が整った。

 しかしながら、北朝鮮は5月の時点では未だICBMの完成には至っておらず、また文在寅が信頼に足る交渉相手か否か測りかねていたものとみられ、文在寅が北朝鮮による挑発による緊張状態がかなり高まっていた2017年7月に北朝鮮との対話を提案した際には、韓国の提案を無視していた。

 その後、北朝鮮はICBMの発射成功により核武力完成を宣言するのだが、文在寅はこの時も表向きは日米と協調して制裁を強化する方向で足並みを揃えたものの、制裁はあくまでも対話をもたらすために行うというスタンスから全くぶれずに、空気を読まずに保守政権では民間による人道支援に抑えていた対北朝鮮支援を、突如政府レベルでも実施する用意があると宣言していることがその証左である。

 北朝鮮は自らが急ピッチで進めた核兵器の完成により、米国との対話準備が整い、加えて、文在寅大統領が米国との交渉に使える相手だという判断に至り、対話モードに入ったものとみられ、米国へのアプローチ方法がよく計算されているといわざるをえない。

 こうした中、北朝鮮は韓国側が2017年の7月に提案してきた平昌オリンピックに参加することを機に、南北関係の流れを一気に変えて、南北首脳会談の開催合意で韓国の文在寅大統領とガッチリとタッグを組んだ。

 すなわち、妹の金与正を韓国大統領への特使として派遣し、韓国大統領経由で米国大統領から米朝首脳会談開催の言質を取り付けることに成功したことになる。

 ここでもう一つ重要な問題は、張成沢粛清の影響により2013年以降、悪化の一途を辿っていた中国との関係も、金正恩委員長による中国電撃訪問で一気に改善へと流れを転換させた。中国の習近平国家主席が全国人民代表大会で盤石な新指導体制を確立した直後という絶妙のタイミングである。

米朝の対話の雰囲気が醸成される中で、中国が蚊帳の外にいるわけにはいかないという中国の思惑を見透かしてのことであると同時に、移り気なトランプ大統領への対抗手段として、中国も自分の側に惹きつけた形である。

ここでさらに驚くのが、北朝鮮はここまでのこうした動きを平昌五輪が決まった段階から緻密に計算していた可能性が高いということである。

1988年ソウル・オリンピック時を再現?

 北朝鮮の現在のアプローチは、1988年のソウル・オリンピックの時を彷彿とさせる。

 オリンピック前年の1987年11月29日には、北朝鮮はオリンピック開催を阻害する目的で、韓国の大韓航空の旅客機を飛行中に爆破した。

 偽造パスポートを使い日本人に成り済ました北朝鮮の工作員による犯行であり、乗客・乗務員115名全員が死亡という大惨事を引き起こし、南北関係は一気に悪化したという話はあまりにも有名であろう。

 にもかかわらず、その直後の12月には、北朝鮮は韓国との連邦制統一を経て中立国を創設するという提案を、米ソ首脳会談に出席したソ連首脳を介して米国に伝えていたということも現在は明らかになっている。

 また、1987年に開かれた米ソ首脳会談の際、ソ連のゴルバチョフ書記長が北朝鮮の依頼を受けてレーガン米大統領に文書を仲介している。

 そこには「核兵器を含めたあらゆる外国軍隊の撤退」、「南北が署名する不可侵宣言」、「休戦協定を平和協定で代替」、「南北の軍を『民族軍』に統合」、「連邦共和国の単一国号での国連加盟」などの提案が記載されていた。

 当時のアメリカのレーガン政権は、この北朝鮮の提案を「非現実的」と判断し、「朝鮮半島の平和共存に向けては南北対話の再開が先でなければならない」との立場を取っていた。

 レーガン政権は北朝鮮の孤立化政策を推進していたが、その後、方針転換を図ることとなる。

 もし北朝鮮が1988年のソウル・オリンピック期間中に挑発行為を控えるならば、北朝鮮の孤立化という方針をやめて、米朝間で関係改善に向けた「控えめなアプローチ」を始めるとの方針へ転換した。

 そして、1988年のソウル・オリンピックの開催期間中、北朝鮮が挑発を控えたため、レーガン政権は控えめながらもいくつかの信頼醸成措置を始める運びとなった。

 さらに、北朝鮮が韓国との関係を改善すれば、米朝間の関係改善に向けたさらなる措置を取る意向も中国経由で伝達した。

 その後、米政府の政策変更に呼応して、北朝鮮側も南北対話の進展、反米プロパガンダの中止、朝鮮戦争時の米軍兵士の遺骨の返還、非武装地帯での信頼醸成措置の実施などで対応した。

 こうして、米朝間での信頼醸成が徐々に進むこととなり、米側の要請を受けて、北朝鮮は南北関係の改善にも務めることとなる。

 やがてこれら一連の流れは、その後の1991年「朝鮮半島非核化の南北共同宣言」や1992年の「米朝核協議」につながることとなったのである。

 高まっていた緊張関係を、オリンピックを契機にして、融和ムードへと転換させる。

 2018年にも、北朝鮮は30年前の前例を踏襲した上で、対米交渉戦略を練ってきたことが容易に推定される。

 現在は朝鮮半島非核化宣言は北朝鮮が白紙化を宣言したために空文化しているが、韓国は今回の南北会談で非核化の共同宣言を採択することを目指していると発表しており、30年前とほとんど同じ展開で北朝鮮が巧みに交渉を進めていることが分かる。

 トランプのことを最強のビジネスマンだと煽る向きもあるが、こと米朝協議に関してはトランプは無能で北朝鮮の方が遥かに狡猾であるということを理解した方が良い。

 正直、北朝鮮に上手く立ち回られて悔しいが、北朝鮮にとっては体制保障上の死活問題であるので、緻密に様々なパターンを考慮して周到に物事を進めているのであろう。実際、ここまでの流れをみているとそうした痕跡が多く認められる。

北朝鮮の非核化の中身

 上述した中朝の電撃的な首脳会談の発表文によると、

 北朝鮮は非核化について、「金日成主席と金正日総書記の遺訓に従い、朝鮮半島の非核化を実現するように努力するのは、我々の変わらない立場」であるとしつつ、「もし、南朝鮮米国が善意で我々の努力に応え、平和・安定の雰囲気を作っていくと共に、平和の実現に向けて段階的かつ同時的な措置を取るならば、半島の非核化問題は解決できるだろう」と言明している。

 これらの報道を受けて、北朝鮮には果たして本当に非核化の意思があるのか、国内外のメディアでは連日、議論が続いており、当然ながら否定的な見方が一般的である。

 北朝鮮が言及しているのはあくまでも「朝鮮半島の非核化」であり、北朝鮮の核廃棄の条件として、在韓米軍の撤退や、米国による韓国と日本に対する「核の傘」の提供の中止を要求しているにちがいない、と数多くの専門家が指摘する。

 実際、北朝鮮は国際社会を欺いて、核ミサイル開発のための時間稼ぎを図っているとの疑念は拭い難い。

 こうした点から、非核化の方法論を巡っても、

  •  北朝鮮は「段階的かつ同時的な措置」とする「パキスタン」方式
  •  米国は、「最初に全ての核兵器の断念を要求」する「リビア」方式
  •  韓国は、「経済制裁解除と核廃棄を同時に行う」「南アフリカ」方式

 と方向性が定まっていない状況で各種会談で成果が出るかどうかも不透明である。

 ただ、忘れてはならないのは、北朝鮮のスタンスは常に一貫しているように見える点である。

 日本のメディアの報道を読んでいると、「北朝鮮の非核化」という言い方をするが、北朝鮮は新たに「朝鮮半島の非核化」という用語を独自で創造したわけではない。

 そもそもこれは、日本、米国、北朝鮮、韓国、中国、ロシアが共同で作成した2005年9月付の「六者会合」の共同声明で用いられていた用語である。

 この共同声明では、「朝鮮半島の非核化」として、北朝鮮の核廃棄を、北朝鮮と日米韓との国交正常化交渉にリンクさせることが合意されていたのである。

 また、当時の六者協議では、「朝鮮半島の非核化に関する真剣かつ実務的な協議」を行った上で、以下の事項を含む、北朝鮮と日米韓3カ国との包括的な関係改善を目的とした措置について六カ国が合意していた。

・平和的な方法による、朝鮮半島の検証可能な非核化

・アメリカは、朝鮮半島において核兵器を有せず、北朝鮮に対して攻撃又は侵略を行う意図を有しない。

・韓国は、その領域内において核兵器が存在しないことを確認し、1992年の朝鮮半島の非核化に関する共同宣言に従って核兵器を受領せず、配備しない。

・北朝鮮とアメリカは、相互の主権を尊重、平和的に共存し、国交を正常化するための措置をとる。

・朝鮮半島における恒久的な平和体制について協議する。

・六者は、北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力を約束し、北東アジア地域における安全保障面の協力を促進するための方策について探求していく。

 また、2005年9月の六者協議では、「約束対約束、行動対行動」の原則で、合意事項を「段階的に実施」する方向性でも一致していた。

 金正恩委員長が習近平国家主席に対して語ったとされる「段階的かつ同時的な措置」とは、おそらくこの六者協議での合意を踏まえた上での発言ではないかと思われる。

 最近では、中朝会談時に金正恩が6者協議復帰を中国に伝達したと伝えられるなど、北朝鮮の動向に目が離せません。

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