【上場廃止を免れたインスペック】評判に違わず下方修正の決算と増資のコンボ 

【上場廃止を免れたインスペック】評判に違わず下方修正の決算と増資のコンボ 

先日、インスペックの会社説明会に参加してきたところ、私の従来の基準では絶対に買わない銘柄ですが新たな取り組みとして購入しました。

 

私が買い始めた頃は、呟いている人もほとんどいなかったですが、いろいろと悪い意味で注目されています。

 

下値で仕込み急騰したところで大半を売却していたのでそれなりの利益が出ましたが、見込みが外れたので利益がある内に売却して以降ずっと監視していますが、しばらくは低迷が続きそうです。

 

ただ、機会があれば再度購入したいと考えている銘柄でもあります。 

バイタリティー溢れる社長

菅原雅史社長は2度の「事業喪失」を乗り越えた不屈の精神を持つ経営者で、個人的には応援したくなるタイプの社長です。

 

会社説明会の時の印象も極めてよかったです。

 

同社は当初、ソニー子会社の下請けとして、ハンディカムの磁気ヘッドの組み立てと検査を行っていましたが、ソニー子会社の内製化に伴い1度目の「事業喪失」を経験。

 

その後、社員の再就職先の斡旋と他の下請け仕事探しに明け暮れる日々を過ごしていたある時、「下請けではなくいつかはメーカーになりたかったはずだ。これはチャンスだ」と開眼。

 

ゼロから1年余りで半導体関連の検査機器を自社開発、その後、液晶関連の検査装置も開発して2000年代前半に大ヒットとなって売上を伸ばして2006年に上場。

 

しかし、リーマンショックで一気に市場が萎み受注が激減して2度目の「事業喪失」を経験。

 

これにめげず、赤字を出しながら我慢の開発を続けた結果、再び強い新製品を開発し、14年4月期に黒字化を達成。

 

その後、15年にスイスの有名メーカー「First EIE SA※」を買収(売上高15億程度規模の秋田の中小企業が、5億くらいの買収実現)し、16年には上述したように東大と手を組み人工知能(AI)技術を用いた病理診断支援ツールの開発へ着手。

 

※ 海外市場での事業拡大を目指し、スイス有名メーカーを買収してシナジー効果創出が狙い

 

事業内容

インスペックは半導体などの外観検査装置を取り扱うマザーズ上場の秋田の中小企業です。

 

 

同社は半導体の外観検査事業に加え、2つの子会社から成り立っています。

・外観検査事業(インスペック)

・プリント基板製造装置事業(First EIE SA)

・医療関連機器事業(テラ株式会社)

中期経営計画

同社はかなり強気な中期経営計画を発表しています。

 

下方修正常連企業なのに、どうしてこんな数値が出されるのかは謎ですが、今期から黒字化を予想しています。

 

中期経営計画でかなり強気な数値を出しており、来期からテラ株式会社の売上が拡大する計算になっていますが、早速、「販売市場の拡大が予想より進んでおらず、売上高は低い水準にとどまりました」とのことで、下方修正を出しています。

 

上場廃止目前まで追い込まれた過去

インスペックは過去に上場廃止を免れるためにやらかしたことがある会社です。

 

株価が低迷して時価総額が3億円を下回り、取引所の当時の基準に基づいて上場が廃止される銘柄に指定されたことがありますが、猶予期間ぎりぎりのところで「株価が上がって時価総額が3億円を超えた」と公表し、上場廃止を免れていました。

 

しかし、この株価の上昇は、会社側が上場を維持するため、社長らが知り合いなどの他人名義を使って自社株を買い付け、意図的に株価を上げた疑いがあることが、証券取引等監視委員会の調べで分かったとして課徴金命令を課されたことがあります。

月次の開示

月次を開示してくれると、難しいことを考えずにシンプルに業績を推測しやすいのも助かります。

 

今期の会社予想には未達の可能性大とみていますが、黒字への転換の可能性はありそうです。

 

半導体関連銘柄

半導体とは電気を通さない絶縁体と、電気を通す導体の中間的な物質のことです。

 

昨年末頃から半導体業界が世界的に復調傾向にあります。

 

世界半導体市場統計(WSTS:World Semiconductor Trade Statistics)が2016年に発表した半導体市場予測によると、2016年の半導体市場も2015年のマイナス成長に引き続き各地域で力強さに欠け、成長率は前年比2.4%減としているものの、2017年は前年比2.0%増、2018年は同2.2%増と予測しています。

 

普段気にもとめませんが、半導体は、家電や電子機器及び自動車など、私たちの生活を下支えしている製品です。

 

最近では、あらゆる製品がインターネットと繋がるIOTの普及が進んでいることもあり、これまで以上に半導体のニーズが高まっているとみられ、テーマ性も十分だと思います。

 

インスペックは、正確には半導体の検査をする会社なのでど真ん中の銘柄ではない半導体関連銘柄です。

人工知能関連銘柄

昨年末に、東大と手を組み人工知能(AI)技術を用いた病理診断支援ツールの開発への取り組みを開始しました。

 

正直、最近は東大と提携したみたいなIRが乱立していて、こういうIRは懐疑的に見ているのですが、この取り組みは大きな意味があると個人的には感じました。

 

実現するのはかなり先でしょうし、また実現性についても問題であるとは思うものの、東大病院が持つビッグデータを活用して遠隔画像診断で病理医不足の解消、医療の地域格差改善につながる医療の世界でのIOT実現というテーマ性としては大きいと考えています。

 

増資を発表

インスペックの決算が金曜日に発表されました。

 

気になった点だけ自分用のメモとして簡単にまとめておきます。

 

決算自体については、そこまで問題視していないものの、同時にEVOへの新株予約権の締結を発表しました。

 

インスペックの開示書類には、資金調達方法の形態がそれぞれ分かりやすく解説されており、これを契機にいい勉強になりました。

 

その上で、資金調達の形態として、新株予約券を選定した点は個人的には良かったと思っています。

 

今まで読んだ資料の中でも極めてわかりやすく当該スキームの概要が説明されており、その点についてはとても好感が持てました。

 

今回のスキームについて結論から述べると、

 

増資自体は、かなり強気な下図の中期経営計画を達成するための措置として許容はできます。

 

ただ、その相手方がEVOではなければという前提がありますが(EVOの詳細については敢えて書きません)…

 

 

とはいえ、来期以降期待できて大きく上がる可能性が高いとしても、直近に予想される増資による一段目の下げと二段目のファンドの売り抜けの下げにより上値を抑えつけられる可能性があることに耐えるのはツライそうです。

 

増資の目的

今回の増資は、まさに中期経営計画で掲げているロールtoロール型検査装置、クラーロの売り上げ急拡大を見越した現預金の確保が資金調達の主な目的となっています。

 

IR情報によると、増資の目的は以下のとおりとなっています。

 

本資金調達は、新製品の受注増加に対応するための仕込調達資金、子会社の株式取得時の借入返済及び追加株式取得資金並びにAI技術を生かした半導体検査装置及び医療関連事業の研究開発に係る資金を確保することが目的であります。

 

より具体的に気になったのは以下の箇所です。

 

当社は今年に入り、今後急速に拡大が見込まれるフレキシブル基板(FPC)のロール to ロール 式検査装置当該検査装置の初号機の受注を獲得しましたが、今後リピートオーダーが見込まれることに加え新たなユーザーからの受注の可能性も高まっていることから、受注の急拡大が予想されます。 

当社が今回調達する資金を用いてAIによる病理診断支援ツールに係るソフトウェア及びビッグデー タ解析のための研究開発を1年間行った後、その後の2年間は当該研究開発によって構築されたシステムを利 用してメタデータ社が中心となってビッグデータの解析処理を行い、最終的には、3年後を目標に病理検査支援システムの実用化を目指してまいります。

以上に加えて、画像認識という観点からは、病理検査と半導体の検査は技術的に共通する部分が多く、高精度なAIシステムの構築は病理診断支援ツールのみならずより高性能な半導体検査装置の開発にも資するものと当社では考えております。かかる観点からは、病理診断支援ツールの開発と並行して、当社においても半導体検査装置用のAIシステムの構築を進める予定であり、こちらについては1年以内を目処に事業化を目指してまいります。

行使価額とコミットイシュー

当初行使価額:1314円

上限行使価額:2166円

下限行使価額:722円

今回の増資は以下のように、見かけ上は既存株主への影響が局限されるような配慮がなされているようにもみえます。

EVOファンド

EVOファンドが割当先になっていることを踏まえると、当該スキームのデメリットとして一番大きいのが以下の部分ではないでしょうか。

 

割当予定先が当社普通株式を市場売却することにより当社株価が下落する可能性

割当予定先の当社普通株式に対する保有方針は短期保有目的であることから、割当予定先が新株予約権を行使して取得した株式を市場で売却する可能性があります。現在の当社普通株式の流動性も鑑みると、割当予定先による当社普通株式の売却により当社株価が下落する可能性があります。

 

割当予定先であるEVO FUNDは、純投資を目的としており、本新株予約権の行使により取得する当社普通株式を原則として長期間保有する意思を有しておらず、出資者に対する運用責任を遂行する立場から、保有先の株価推移により適宜判断の上、本新株予約権の行使により交付を受けることとなる当社普通株式につきましては、 市場外でのブロックトレード等を含めてマーケットへの影響を勘案しながら売却する方針である旨を口頭にて確認しております。

 

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