【韓国に対する輸出管理の強化】有機ELに欠かせないフッ化ポリイミド規制が与える影響

国際情勢
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7月4日以降、日本政府は韓国に対し、フッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミドの3品目について、輸出管理が困難になっていることを理由に輸出管理を強化すると発表した。

今回は、最も話が簡単なフッ化ポリイミドの輸出管理の見直しが韓国に与える影響について見ていく。

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フッ化ポリイミドとは?

フッ化ポリイミドとは、スマホやパソコンなどの液晶ディスプレイの液晶分子を綺麗に並べる役割をする化学薬品である。

 

日本政府が、ディスプレイ材料の一つであるフッ化ポリイミドの輸出管理を強化すると発表したが、これは、韓国勢が強い有機ELディスプレーの材料に利用されている。

 

化学兵器や戦闘機といったものに軍事転用される戦略物資である。

 

日本企業のシェアは約90%で、国内生産メーカーはカネカ<4118>、ダイキン工業<6367>などが挙げられる。

 

サムスンディスプレイとLGディスプレーは、最近の主要な顧客の買いに書簡を送り、日本政府が輸出規制対象に指定されたフッ化ポリイミドは、実際の製品の製造・供給に影響を及ぼさないと発表したていることからも明らかなように、経産省のホームページを確認すると、今回輸出管理の対象となるフッ化ポリイミドは特殊な用途で使用する高スペックなものに限定されている。

 

その対象は0.1%程度と指摘されているため、現在のサムスン電子やLGディスプレーの現在主流商品に使用されている有機ELパネルについては、輸出管理の影響はないとみられる。

韓国によるフッ化ポリイミドの不適切な輸出管理

フッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミドについて、経産省は、韓国側の輸出管理の不適切な事案なために難しくなっていることを理由に個別許可に変更しているが、どのような事案が生起していたのか明らかにしていないものの、以下のような中国への技術移転の問題が確認できる。

 

韓国検察当局は29日、同国のサムスングループで有機ELパネル世界最大手、サムスンディスプレーの生産技術を中国パネル最大手の京東方科技集団(BOE)などに流出させたとして、サムスンの取引先の幹部ら計11人を起訴したと発表した。検察によると、最新のスマートフォン(スマホ)のパネルに使う先端技術が中国側に流出した。
 
有機ELや半導体が代表する先端技術の開発の成否は企業の命運を左右するため、それだけに競争も激しく、不正な手段を使ってでも習得を狙うケースもあり、中国パネル最大手の京東方科技集団(BOE)はこの時に有機EL関連の技術を盗んだ可能性が極めて高い。
 
 
中国パネル最大手の京東方科技集団(BOE)の有機ELプロジェクトが始まったのは16年前。
 
 
2001年末に韓国ハイニックス半導体(現SKハイニックス)傘下のディスプレー部門ハイディスから有機EL事業を買収し、2003年にはハイディス本体を買収したことが始まりである。
 
 
サムスン電子やSKハイニックスから従業員を引き抜いて成長してきたとの指摘もある。
 
 
フッ化ポリイミド自体が不正に中国に横流しされていた訳ではないが、フッ化ポリイミドに関連した技術が第3国へ流出している事実は確認でき、日本が米国の方針に合わせ、中国への技術移転を厳格化している中で、こうしたことも輸出管理強化の理由となっていると見られる。

有機ELパネル市場シェア

2018年の有機EL(中小型)パネル市場の出荷額シェアは、英調査会社HISによると、下図に示すように、サムスン電子が83.3%と圧倒的なシェアを占める。LGディスプレイは、大型有機ELではほぼ全量を供給しているが、中小型では12.7%である。

 

京東方科技集団(BOE)は、華為技術(ファーウェイ)等に供給しているが、未だ1.1%のシェアしかない状況にある。

 

有機EL

有機ELは色の再現性や黒の表現に優れる。折り曲げることができるため、液晶パネルに比べてデザインの柔軟性が高く、画面を折り畳める次世代スマホ「フォルタブル」や、自動車の内装向けなどで需要の拡大が見込まれている。

 

アップルがスマートフォン「iPhone」の性能を左右する中核部品に「有機ELパネル」を採用すると発表したことで、今後の成長が見込まれている分野となっている。

 

iPhone XS MAX の原価

$120 ディスプレイ
$71.5 電気機械システム
$40.8 メモリ
$37.6 カメラ
$30 アプリのプロセッサ
$17 RFチップセット
$15.5 RF/PA
$13.5 トゥルーデプスセンシングスーツ
$12.6 パワーマネジメントIC
$9.7 UI
$7.3 筐体
$7 Bluetooth/WLAN
$6.5 バッテリー
$1.2 センサー

合計$390

アップル、iPhoneに中国製有機ELパネル採用

アップルはスマートフォン「iPhone」の性能を左右する中核部品、有機ELパネルで中国パネル最大手製の採用へ最終調整に入った。コスト削減を加速して低下するシェア回復をめざす。液晶に続き有機ELでも中国勢が台頭し、世界のスマホ部品業界の勢力図にも影響を与えそうだ。 日経新聞

これは、韓国へのフッカポリイミドの輸出管理が強化されたタイミングで出た報道である。

フッ化ポリイミドの輸出管理の対象は特殊なフッ化ポリイミドとされる0.1%程度と指摘されているため、現在のサムスン電子やLGディスプレーの現在主流商品に使用されている有機ELパネルの生産には影響がないとされているが、アップル社が京東方科技集団(BOE)の有機ELパネル採用の最終調整に入った理由として、表向きの理由として日本の輸出管理の影響を受ける可能性があるためと発言しており、間接的に韓国のサプライチェーンに対する影響は既に出始めている。

 

英IHSマーケットの試算では、「iPhone XS Max」の6.5型有機ELパネルの価格は120ドルで、製造コスト全体390ドルの約3割を占めるという。

 

BOEが華為技術(ファーウェイ)に供給している6.5型有機ELパネルの価格は、フォーマルハウト・テクノソリューションによると、84ドルであるため、サムスンからBOEに変更すると、3割程度コストも削減できる。

 

アップルは、最終製品であるスマホで競争相手であるサムスンから、スマホのキーデバイスである有機ELの供給を受けることは、サムスンに「生殺与奪」の権を握られていることを意味するため、サムスンから脱却するためにもジャパンディスプレイに出資して抑えていると考えていたため、今回の中国企業の採用は驚きでした。

 

他方で、今回のように、米国政府の意向に反し、米企業が積極的に中国企業と取引を継続することが多くみられるため、米国がいくら中国に圧力を掛けてもサプライチェーに完全に組み込まれているため完全に中国を切り離すのが難しい側面があるとみられます。

ジャパンディスプレイ(JDI)への影響

このタイミングでサムスン依存を脱却してジャパンディスプレイ(JDI)を採用すると見込んでいたために、アップルの決定は、ジャパンディスプレイ(JDI)が、中小型液晶を中心に経営再建を進めようとしている中、大きな影響を与える。

フッ化ポリイミドの輸出管理見直しにより、ジャパンディスプレイ(JDI)が恩恵を受ける可能性があるとする報道がよくありましたが、実際には韓国企業の生産にも影響がなく、中国勢にシェアを奪われるなど、恩恵は少ないとみられる。

まとめ

フッ化ポリイミドの輸出管理の対象は0.1%程度の特殊なフッ化ポリイミドと指摘されているため、現在のサムスン電子やLGディスプレーの現在主流商品に使用されている有機ELパネルの生産については、輸出管理の影響はないとみられる。

 

他方で、アップルが中国の有機ELパネルを採用するといったように、韓国のサプライチェーンに対して間接的に影響が出始めており、今後の動向が注目される。

 

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