株式投資に役立つ学問・学部とは何か? 

株式投資に役立つ学問・学部とは何か? 

株式投資に役立つ学問って何だろうと考えた時、あなたなら何学部を挙げますか?

 

今回はそんな疑問に対する私なりの回答を考えてみました。

 

結論から申し上げると、「会計学」、「経済学」、「教養学」、「法学」、「経営学」、「統計学」及び「行動経済学・心理学」等、様々な学問が役立ちます。

 

以下、それぞれを投資家のタイプを3つに場合分けしてみていきます。

 

この3タイプはどれが優れている劣っているということはなく、どのやり方でも儲けることができるし損することもできます。

株式投資と大学の勉強の関係性

株式投資と大学の勉強に関係性ですが、何か関連性があるのでしょうか?

 

証券業界などの金融関係に就職するならば関係しますが、個人として投資を始めるだけなら、学部・学科はあまり関係なさそうな気もします。

 

他方で、「経済学部」なんか関係がありそうな気もしますし、投資における「メンタル」面の大切さを認識している人は「心理学」も関係がありそうな気がします。

 

これは、自分がどのような投資スタイルなのかによっても大きく回答が異なる類の命題ですので、これだという回答を一概に提示することは困難だと思います。

 

そこで、完全に切り分けられる類のものではありませんが、「定量的な要素を重視する投資家」、「定性的な要素を重視する投資家」、「トレーダータイプの投資家の3つの投資スタイルに便宜上切り分けて話を進めます。

 

個人的には、定量的な要素を重視する投資家タイプには、「会計学」、「経済学」、定性的な要素を重視する投資家には「教養学」、「法学」、「経営学」などが役立つ学問ではないかと考えています。

 

他方で、トレーダータイプには、「統計学」と「行動経済学・心理学」が役立つと思います。

 

便宜上いずれかのタイプに割り振っていますが、当然これは横断的にどのタイプにも当てはまる場合がほとんどです。

定量的な要素を重視する投資家が重視するとみられる学問

数字に信頼性を置くタイプの定量的な要素を重視する投資家は、会計や経済学を重視する人が多いのではないでしょうか?

会計学

会計学は財務諸表の読み方など、株式投資と直接的な関連がありそうな感じがしますが、株式投資をやる上で求められる会計学の知識は決算書の読み方や見方が分かるだけで十分で、専門的な知識は必要ないと思っています。

 

では、なぜ会計学が大事かと言うと、「企業は、株主や銀行から資金調達をし、利益の蓄積を元手に事業を展開し、顧客に付加価値を提供することで売上利益を上げ、それを再投資するというサイクルを廻している」ことを踏まえると、決算書を読めるようになることで、数字という言語を通じて会社の全体像を理解して今後について考察することができるようになるというのが必要になってくる理由です。

 

例えばPL(損益計算書)を読むことで、売上を上げるために何にどの位コストをかけたかがわかります。

 

BS(貸借対照表)を読むことで会社がどこから資金を調達し、資金を何で運用しているか理解することができます。

 

また、勘定科目間の関連性を理解することで会社の大きな動きを理解することができます。

 

例えばBSで棚卸資産及び短期借入金が増加し、PLで売上高が低下していた場合、「売上が下がった結果在庫が増え、運転資金が不足したため短期借入を起こした」という因果を含んだストーリーが考えられます。

 

他社の決算書と比較分析することで強み・弱みを把握し、株式投資の判断に資する材料のひとつになります。

 

ざっくりと言えば、この程度のことが分かるようになれば株式投資を行う上では十分であると考えています。

 

大事なのは、こうした知識以上に重要なのは数字をベースにした「思考力」です。

 

数字の推移に目を配ってその変動に気づき、変動の背景にある理由や原因に思考を巡らせることができるかということです。

 

こうした思考力を鍛えるのに良い学問が、後述する「教養学」と「法学」になります。

 

【財務諸表・決算書の読み方】株式投資に資する会計・ファイナンスの知識を獲得するオススメの本

経済学

経済学は個人・企業・政府という経済主体がそれぞれの目的に合わせて行う経済活動を分析する学問ということもあり、株式投資に役立つ学問として経済学から勉強を始めようと考える人が多いのではないでしょうか。

 

これは、株式投資が資本主義社会における経済活動の中核をなす行為であることから、株式投資をするためには経済学の知識が必須であると考えることに起因するのだと思います。

 

そして、日経新聞を購読したり、書店に出かけて「経済学」と書かれた書籍を手に取ったりして、その難解さに躓くのでしょう。

 

確かに、新聞や経済学の書籍を読むことも大切ですが、実際に株式投資をする上で必要か(あるいは役に立つか)と言われると、正直、微妙なところだと思います。

 

なぜなら、経済学は「理論」を学ぶものであって「実践」ではないからです。

 

もちろん、理論を知っている方が良いとは思いますが、別に知らなくても何の問題もありません。

 

偉そうに講釈垂れる経済アナリストが、自分で儲けることが出来ていない時点であまり必要ないということは容易に想像がつくでしょう。

定性的な要素を重視する投資家が重視するとみられる学問

特に、成長株を好む人がこのカテゴリーに包含されると考えますので、定性的な要素を重視する方には未来を見通す考察力・思考力が必要となってきます。

 

これは感覚的な要素も入ってくるので、妄想と揶揄されそうな側面もありますが、他の人には見えていないものが見える本物も中には存在します。

教養学

教養と投資はあまり結びつきがないように感じるかもしれませんが、私は「考え方」を学ぶ学問として教養学は極めて有益であると考えています。

 

米カリフォルニア州にハーベイマッドという理系の大学がありますが、卒業生の10年後の年収が全米1位で有名な大学があります。

 

同校は、理系でありながら文系の読み書き教育にも非常に熱心なリベラルアーツ(教養)の大学ですが、同校の学長が、「理系の学生は正解を求めるのが勉強だと思っている。しかし、正解のある問題を解くなどというのは低級の知のあり方。そんなことに長けている人材をいくら送り出しても、正解のない問題に満ち溢れている世界を変えられることはできない」と述べています。

 

株式投資も一緒だと思います。

 

正解のない世界で自ら問いを立てて考えずに、与えられた命題だけをこなしているような人間は投資をやっても上手くいかないでしょう。

 

教養学を学び、毎日コツコツ様々な分野の勉強をすることで、異なる分野の知識が頭の中で相互作用をもたらしたり、まるで複利運用のように知識の量が加速度的に増え始める、「知識の複利効果」とでも形容すべき状態になります。

 

銘柄選定においては、この「知識の複利効果」と形容される有機的に脳内で処理される言語化できないプロセスが大事になってくることもあります。

 

PERなどの数値的なものを拠り所とするやり方とは違い、これは持って生まれた頭の良さという各人の生まれ持ったセンスなのでどうにもできない部分ですが、こうした教養学をベースにした学びでそこに近づくことはできるものと考えています。

法学

法学部というのは物事を体系立てて論理的に学ぶための学問だと私は認識しています。

 

同意が得られる人は少数派かもしれませんが、弁護士と投資家(トレーダー)は似ていると思っています。

 

私は学生時代に憲法、民法、刑法、国際法などを語学以上に専門的に学んでいましたが、株式投資のみならず本業においても、これまで最も役に立っていると感じた学問は憲法を代表とする法律学です。

 

判例を覚えて、類似のケースにどのように条文を適用させるか、またその際にどのような問題が生じるのかと言うことを文章にして論理的に記述して添削して指導を受けるという辛い訓練が、自然と体に染み込んでいて文章を書いたり、物事を体系的かつロジカルに考える習慣がつくようになった気がします。

 

こうした力は、数字の推移に目を配ってその変動に気づき、変動の背景にある理由や原因に思考を巡らせることができるかということにも応用できるので、こうした考える力を養う学問こそ、株式投資に役立つと思います。

経営学

経営学とは企業の利益を最大化するための方法をまとめた学問です。

 

「マーケティング戦略」「製品戦略」「イノベーション論」「組織論」「会計」「株式・投資」などを学びます。

 

こう見ると、企業に関するあらゆる知識を学んでいくので、見かけ上は最も株式投資と親和性が高そうな学問と言えそうで、経営学では様々な企業の成功事例・失敗事例を学ぶので、こうした知識は投資に直接役立つと見られます。

 

例えば、ホームページをチェックして企業の強みを理解したとします。

 

しかし、それは他社の強みとどう異なるのかは企業概要を見るだけでは理解できません。

 

自社の技術や製品、サービスには価値があるのか、その技術は真似されるのか、といったことを考えられるようになるのが経営学の視点なのではないかと考えています。

 

そして、さらに一歩進んで意識を高く持って、自分だったらこう事業を展開するのにという経営者の視点で考えられるようになると無双モードに入りそうですが、そこまで意識高く経営学を学ぶ人は少なそうです。

トレーダータイプに必要な学問

最後に確率やメンタルを重視するとみられるトレーダータイプについてです。

行動経済学・心理学

行動経済学とは、認知心理学や脳科学などの専門家と協力しながら、人の実際の思考や行動、判断のプロセスを科学的に究明しようとする学問です。

 

また、株式市場は人々の心理の集合体ですから、心理学を学ぶことによって相場に惑わされない投資への態度を身につけることができると考えています。

 

株式投資で負ける原因など、自分の経験を思い返せばいくらでも出てきますが、大抵は株式投資をする上では望ましくない「非合理的な行動」に起因することが多いと思います。

 

自分の感情をコントロールして合理的に処理できれば、株式投資で利益を出せる可能性は高まるでしょうが、この「非合理性」こそが人間の愛すべき個性であり、人間を人間たらしめるものと言えるのも心理です。

 

大損して取り返そうとレバをさらにかけるとか普通に考えたら信じられないと思いますし、信用取引も基本は利益が出ている時しか使いませんが、こうした無茶をして退場していく人が実際にいるのも事実です。

 

こうした行動を避けるためにも、自分の行動だけではなく、他者の思考や行動、判断のプロセスを知っておく必要があります。

  • 人間は実際にどのように行動や意思決定をするのか
  • 何かを判断する時に、一体どのようなバイアスがかかるのか
  • 感情が意思決定にどのような役割を果たすのか

 

こうしたことを客観的に把握して知識として武装しておけば、自分がこれまで無意識のうちに行ってきた非合理的な行動を上手にコントロールできるようになるかもしれません。

 

人間の行動原理を知っていれば、自分の投資判断を冷静に検証できるようになるものです。

 

ただし、それだけで勝ち続けていける人は一握りの天才しかいないでしょう。

統計学

統計学とは「ある特定の現象の法則性や特徴について、与えられたデータに基づいてできるだけ客観的に把握し、不確実な情報の下でできるだけ誤りの少ない意思決定の仕方を考える学問」です。

 

この統計学の定義と全く同じなのが「金融市場」であることからも、統計学が株式投資には欠かせない要素となることは想像に難くないでしょう。

 

そして、統計学は心理学・行動経済学と密接に関連しており、このことが極めて重要な点であると個人的には捉えています。

 

すなわち、人間の行動心理、集団的行動パターンには、視覚的及び数値的に識別可能だとの指摘があり、統計的に予測できる要素が大きいのです。

 

誤解を恐れずに言えば、統計学の知識さえあれば、株や為替について全く知識がなくとも、かなり高い確率で外れない相場の予想が可能となります。

 

なぜなら、投資家には、過去と似たような行動パターンを何度も繰り返す傾向があること、そして個人に行動パターンがあり、個人の集まりが集団であり、集団としての行動パターンが形成されるからです。

 

過去の相場で実際に起きた行動パターンに着目して、いくつかの繰り返される行動パターンを捉え、その再現性の高いタイミング=統計上、確率の高いタイミングを把握して行動することが可能となります。

 

過去に起きたこと比較し、相場参加者がどのように考えているのか、今現在マーケットで何が起きているか等に注目して自分の行動指針や戦略を立てることができることの優位性は大きいでしょう。

 

このように言葉で表すと簡単そうですが、私は他の市場参加者が何を考えているのかを読むのが得意な方ではありませんし、これはかなり難しいことです。

 

究極的には、トレーダータイプの才能がある人は、こうした要素を読み解ければ、他の知識で劣っていたとしても相場で勝つ可能性を高めることができると考えています。

余談:投資に有利とは言えないが、証券業界への就職に有利な大学

最後に余談として、投資家になるために有利な学部はありませんが、あなたが証券業界に就職したいならば、有利な大学は存在します。

 

ダイヤモンドオンラインで掲載された「証券・不動産会社への「就職に強い大学」ランキング!【ベスト40完全版】」によると、証券業界に有利な大学として、慶應義塾大学、早稲田大学、明治大学などが上位にあげられていました。

 

まとめ

私が今回の記事で取り上げた学問で、本格的に学んだことがあるのは、「法学」、「経済学」であり、残りは参考書で軽く読んだことがあるレベルですが、個人的には、「教養学」、「法学」、「経営学」などの思考過程を鍛える系の学問が最も役立つ学問という認識で、誰にでも当てはまるユーティリテー学問としては「心理学」、「行動経済学」、「統計学」が最も役立つ学問と言えるのではないでしょうか?

 

これら全ての共通項は思考力を鍛える点と知識の複利効果です。

 

そして、株式投資に役立つ学問は何かという今回の記事の趣旨からは少し外れますが、思考力があれば学歴は必要ないですが、 学がある人間の方が投資で成功する確率は高いと思います。

 

こうした理論的なことに詳しく投資論で人を論破しても何の意味もなく、運も含めた投資結果が投資家の全てですが、こうした学問を学ぶと何かしらの気づきがあるでしょうから、それらを生かしてしっかりと結果を出せる投資家になりたいものです。

 

同じことを主張していても、結果が伴っている人の言葉の重みは違うものですから

 

銘柄分析のやり方・方法の鍵となる「思考力」・「論理力」・「感性」を養うためにはどうすればよいか?

 

株式投資を行う上での心構え・考え方を学び投資哲学を確立する上で役立つ本を紹介します

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