フィードラーの条件適合理論 悩みを抱える管理職・リーダーに知ってほしい考え方

フィードラーの条件適合理論 悩みを抱える管理職・リーダーに知ってほしい考え方

職場により管理職になる年齢は異なるでしょうが、30〜40代になると、部下を持つ人が多くなってきて、真面目な人ほど人間関係や自分の能力について悩んでくる人も多いのではないでしょうか?

 

中には、管理職研修という名の下に「高度な人格」を身に付けるためにはどうすれば良いのかという厄介な宿題を与えられる人や、心が優しすぎて自分で全ての責任を背負い込んで闇の戦士になってしまった人もいるでしょう。

 

当たり前ですが、組織の目的、業種や環境など、条件によって必要とされる管理職のスタイルや働き方も異なってきます。

 

見方を変えれば、組織のパフォーマンスには、組織を取り巻く環境や、組織を形成している条件が影響を及ぼしていると言えます。

 

このような組織ではこういうスタイルのリーダーシップがある程度有効である等、管理職のリーダーシップ・スタイルと組織状況の組み合わせにパフォーマンスの相関を見出した学者がいます。

 

フィードラーという学者はこれを条件適合理論(コンティンジェンシー理論)と名付けました。

 

経営学を学んだことのある人には馴染み深い概念なようです。

 

この概念はとても興味深いので、新たに管理職になったような人は覚えておいて損はないと思います。

 

私は専門が「国際法」でしたので経営学については自分でなんとなく本を読んだだけで体系的に学んだことはありませんが、機会があれば学びたい学問の筆頭です。

 

フィードラーの条件適合理論

 

フィードラーはリーダーシップのタイプと組織状況について以下のように分類しました。

 

リーダーシップスタイル

 

条件適合理論によると、リーダーには大きく分けて2つの機能があります。
 
 
フィードラーは、リーダーにも人間関係の好き嫌いがあるはずですが、それを素直に表して嫌いな人に冷たく接する人だけではなく、嫌いだけど我慢して寛大に扱う人がいると仮定し、それを指標化してタイプ分けしようと考えました。
 
 
こうした考えの下、リーダーの行動をLPC(Least Preferred Coworker: 一番嫌な同僚指数)という指標で捉えました。

 

この指標に従い、LPCが低いリーダーは、一番嫌な同僚と上手くやることにこだわらないので、「達成志向」、LPCが高いリーダーは、一番嫌な同僚とも上手くやっていくので、「人間関係志向」であると定義しています。
 

達成志向と言われるパフォーマンスに直結する機能(仕事中心型)

 

いつまでに何をどのくらい達成しなさいと課題を明確に与える役割

 

人間関係志向と言われるメンテナンス機能(人間関係中心型)

 

組織のメンバーに配慮して必要な支援をしたり、問題が起きれば仲裁したりする人間関係の調整機能

 

リーダーの中にはこの2つのバランスが取れている人もいれば、どちらかに偏っている人もいます。

 

というか、現実社会では、2つのバランスが取れている超人なんてほとんど見たことがないです。

組織状況

上司と部下の関係性

 

良いコミュニケーションが取れているかどうか、信頼関係があるか

 

タスク構造

 

仕事が単純な作業、あるいはルーティーン的なものなのか、それとも複雑なものか

 

リーダーの権限

 

リーダーが組織の中でどのくらい権限を持っているか

 

 

これらの組織の状況を表す3つの要素をそれぞれ「高い」、「低い」で分類し、そこにリーダーシップの2つの機能を図で表すと以下のようになります。

 

 

これを読み解くと、パフォーマンス志向の仕事中心型のリーダーが力を発揮するのは、上司と部下の関係性、タスク構造、リーダーの権限がそれぞれ高いか、あるいは低い場合であることが分かります。

 

すなわち、とても良好な条件(環境)のときは、指示を出しておけば自然と上手く回るし、厳しい条件のときは、あれこれと配慮するよりも具体的かつ明確な指示を示す方がパフォーマンスは上がってきます。

 

この中間くらいの条件のときにパフォーマンスを上げられるスタイルが人間関係志向の人間関係中心型のリーダーです。

 

毎日定時に変えることができるホワイト企業で働く人、あるいは毎日終電かつ土日も出勤があるようなとても厳しい条件の下で働いているブラック企業の戦士も一部にはいるでしょうが、大抵はその中間くらいの環境に属する人が多いと思います。

 

直感的には、人間関係志向の成熟したリーダーがどのケースでも高いパフォーマンスを上げると思っていた方が多いかもしれませんが、状況によって有効なリーダーシップや管理方法は異なるという結果が出ています。

 

フィードラーの条件適合理論から導かれること

 

フィードラーの条件適合理論から導かれることは、組織は自らの置かれている環境によってリーダーシップを変えていかなければならないということです。

 

しかしながら、各人のリーダーシップ・スタイルは、その人の経験や性格から形成されるものですので、変えるのは容易ではありません。

 

また、通常は職場では波風立たせずにやり過ごす人が多いので、中間くらいの環境に属する人が多いことを踏まえると、目に見える成果を上げるリーダーというよりも、メンバーが気持ちよく働けるようにマネージできる人材が最も大切なのではないかと個人的には感じました。

 

ただ、この人間関係志向のリーダーシップは極めて稀有な存在であるというのが実情です。

 

口答えや文句を言わない真面目で従順そうな人を槍玉に挙げて攻撃したりする達成志向の仕事中心型の管理者は多いですが、人間関係のマネージメントに長けている人を私はほとんど見たことがありませんし、こうした可視化できない要素は評価し難く、管理職になるような人は周囲の人間と協調せずに自分の力で成果を挙げた人材が多い傾向にあるので、こうした要素が足りない傾向がある人が多いのかもしれません。

 

実際、私の職場でも、能力や人格的に優秀な人ほど出世欲が低い傾向があり、無能で部下を上手に扱えない層が管理者として跋扈しています。

リーダーとマネージャーの違い

リーダーとマネージャーという似たような概念について、米国の経営学者であるウォレン・ベニスは、リーダーは、「Do things right」、マネージャーは「Do the right thing」であると定義しています。

 

リーダー

リーダーとは単なる管理職を指す言葉ではなく、ビジョンを示してチームを引っ張っていく人というようなイメージを持つ人が多いと思いますが、ベニスは「リーダーは状況によっては既存のものではない判断や行動をすることもある。すなわち、緊急事態や危機的状況に直面して必要と判断した場合、ルールや規則に従わずに新しいことにチャレンジできる人材」としています。

 

マネージャー

他方で、マネージャーは「Do the right thing」と表現されるように、決められたことをきちんとこなすことができる人物、これを優秀なマネージャーと定義しています。

 

結 語

こう整理すると、パフォーマンスを上げていくのに必要なのはマネージャーではなく、刻々と変化する状況に応じて必要な対策を講じ、適格な意思決定を下すリーダーの方ではないかと考えられます。

 

フィールド全体を俯瞰して見ることができるような自身の行動を客観的に見つめることができる視点があれば、自分に求められている役割をしっかりと把握できるようになるのでしょう。

 

しかし、こうした小難しい理論は理論としては参考になりますが、現実に襲い掛かってくる問題に対する解決にはならないところが悲しいところではあります。

 

とはいえ、こうした考え方を知った上で、自分が置かれている組織環境において、どういったリーダー像が管理職に求められているか把握し、自分がどのように振る舞えば良いのかを認識するようになるだけでも意味があると思います。

 

真面目で責任感が強い人ほど自分で責任を背負いこんで負担を抱えてしまうので、適度に手を抜きつつ、無駄な仕事をやらずに、如何に部下に仕事を振って効率よく残業しないで帰るかを考える上でも、管理者として自分がどのように振舞うべきかを振り返るきっかけや気づきになれば幸いです

 

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